
オークションの落札データーを見たいと思ったことがある方は少なくないと思いますが、そのようなデータは実在しているのでしょうか?
目次
はじめに
各中古車オークション会場には中古車オークションの落札データーが蓄積されています。このデーターはオークション会員である代行業者は閲覧するこが出来ますが、残念ながら一般人は見ることが出来ません。
落札データーには、年式や走行距離、金額などが記入されています。では、このようなデータを蓄積することには、いったいどのような意味があるのでしょうか。
データがたまればたまるほど、ある中古車がどの程度の値段で落札されているのかが明確になってきます。たとえば2004年式のホンダ・オデッセイ・シルバーはこれくらいで買うことが出来る――というデータを代行業者は受け取って、それを一般客に伝えます。こうすることにより、間接的にではありますが一般客は中古車オークションのデータを手に入れることができます。おおよその落札額が分かれば、代行業者としても営業活動がやりやすくなります。
また、データを蓄積することにより、どのような自動車が高く売れ、どのような自動車がなかなか売れないのかを知ることもできるため、出品代行業者も営業活動がやりやすくなります。
ちなみに、このデータ、前述の通り一般客は見ることが出来ないのですが、実際の商談の場では「特別ですよ」などという前置きの元、見せてもらえることも少なくないようです。ただし、このデータをまるまる鵜呑みにしてしまうのは危険です。
具体的な例
具体的な例で考えてみましょう。あなたは中古車を今まさに売らんとしているお客様です。中古車オークションの代行業者が「お客さんは特別ですよ」と言って自動車のデータを入力し、それと同じような車がどれくらいの値段で落札されているかを入力します。走行距離、年式、色、グレードなど、すべて打ち終えると、最新のデータが表示されます。それを見せてもらったところ、「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 120万円」の文字が。走行距離も色もあなたの車によく似ています。
これを見てあなたはおそらく「ああ、自分の車も120万円ぐらいで売れるんだな」と思うはずです。
そしてその後あなたは、特別扱いしてもらったことに対するお礼に気持ちも込めてこの業者と契約。早速中古車オークションに出品してもらったところ、なんと予想を10万円も上回る130万円で売却することが出来ました。思ったよりも高く売れて、めでたしめでたし……と話がここで終われば非常に平和的なのですが、この話には裏があります。
実は、先ほど中古車オークション代行業者が見せてくれたデータは、オークション代行業者によって都合よく切り取られた一部のデータに過ぎなかったのです。実はあのパソコンには「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 120万円」の自動車のほかに、「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 170万円」「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 150万円」というデータも入っていたのですが、中古車オークション代行業者はあえてそれを見せず、一番安い120万円のデータだけを見せていたのです。
なぜこのようなことをするのか。それはずばり、最初に少し安い金額を提示しておいた方が、後々あとくされがないからです。たとえば、もしあなたが「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 170万円」というデータだけを見せられて、実際の売却額が130万円だったらどう思いますか?40万円も損した気になりますよね。しかし、「評価点4点 走行距離:4万 km 色:白 120万円」というデータを見せられて、実際の売却金額が130万円だったら、10万円得をした気になりませんか。実際にはどちらも同じ自動車を同じ金額で売ったのだから損も得もないのですが、これが人間の心理というものです。
もし170万ぐらいで売れますといったにもかかわらず130万円でしか売れなかったら、そのお客さんは業者の悪口を言って回るかもしれませんし、次回車を売却する際には別のオークション代行業者を使うかもしれません。それは業者側にとっては避けたい事態です。
しかし、120万で売れますと低めに見積もっておいてから、実際には130万円で売れれば、お客さんはその業者を素晴らしい業者だと言って回るかもしれませんし、次回リピーターになってくれる可能性も高まります。もし仮に売却額が120万円にしかならなくても、お客さんは「まあ言う通りの金額では売れたし、また利用してもいいかな」と思ってくれます。要は安めに金額を提示したほうが、後でお客さんからの評価が高くなるから、あえて安いデータしか見せないようにしているのです。
この商売の仕方をひきょうなやり方だと思われるかもしれませんが、そもそもどのデータを開示するかは店側が決めることですし、これ自体は違法というわけではありません。一部の情報だけを開示して、肝心の場所は見せずに商売を行うなど、どの業界でも日常的に行われている話です。こういう言葉を使うのは気が引けますが「騙される方が悪い」としか言いようがありません。
もしあなたがこのようなデータに騙されるのは嫌だと思ったら、中古車オークション代行業者にデータを見せてもらっているときに「本当にデータはこれしかないんですか?何か隠しているんじゃないですか?」としつこく食い下がってみるといいでしょう。そこでの態度があまりにも怪しかった場合は、その業者避けたほうがいいでしょう。ただし、中には最初から正直に全てのデータを見せてくれる業者もあります。また、データは見せることが出来ないものなのだから、いくら頼まれても見せることが出来ないという業者もいます。こういう業者は正直なので信頼できます。
オークサポートの中古車相場検索
オークサポートでは現在、プロが使っているオートオークションの落札データから購入する自動車の相場や売りたい自動車の相場をチェックできるサービスを公開しています。
早速ちょっと使ってみましょう。使い方はとても簡単で、メーカー、車種、グレード、年式、型式、色、車検、走行距離などを入力していくだけです。ここでは仮にメーカーはトヨタ、車種はアクア、年式は2012年~2014年、車検有、走行距離は1万~3万km、価格は100万円~200万円で検索したいと思います。
この条件で検索すると、たくさんの候補が出てきます、たとえば、アクア 5D 2WD、2012年式、シルバー、型式がNHP10、評価点4の価格は160万円~163万円と表示されます。つまり、このグレードの中古車がほしいと思ったら、これだけのお金を払わなければならないということです。
また、アクア 5D 2WD、2013年式、シルバー、型式がNHP10、評価点1の場合は131万円~133万円となっています。年式がほぼ同じで、色も型式も同じであるにもかかわらず、30万円近く安くなっているのは、おそらくこちらの評価点が1しかないからでしょう。
このデータベースを見るとわかりますが、基本的には走行距離が短いほど、あるいは評価点が高いほど、年式が新しいほど、色が人気なほど価格は高くなります。自動車の色の人気は時代によっても多少変化しますが、基本的には白、シルバー、黒の3種が安定して人気があります。また、評価点が5点の物は当然人気が高いのですが、4点や3.5点も十分に人気があります。逆に評価点が1点など、極端に低い中古車は価格が安くなる傾向にあるため、ある意味お買い得といえるかもしれません。
ただし、修復歴のある自動車は運転に支障が出るかもしれないので、なるべく避けたほうがいいでしょう。中古車は新車以上に安全性が重要になってくるものですから、安いという理由だけで飛びつくのはお勧めできません。